「介護福祉士を取ったら、次はケアマネを目指すのが普通ですよね?」
こう言われるたびに、私は少し立ち止まって考えてしまいます。
私は現役の理学療法士(PT)です。
介護士として老健で働いた後、夜間部専門学校に通いながらPTの資格を取得しました。回復期病院・急性期総合病院・クリニックリハビリと、これまでに4回の転職を経験しています。
そして当時の私の周りには、ケアマネを目指した同期も、PTを目指した同期も、両方いました。
15年以上が経った今、その選択の結果が見えてきました。その経験を、この記事では正直にお伝えします。
「次の資格で後悔したくない」と思っているなら、最後まで読んでください。
あなたに合う選択肢が、きっと見えてきます。
結論はこれです。
「身体に直接関わりながら人を助けたい」という気持ちがあるならPT
「調整・書類・マネジメントが得意」ならケアマネが向いています。
| 比較項目 | ケアマネ | 理学療法士(PT) |
| 資格取得年数 | 介護士5年以上※→試験合格(勉強期間数ヶ月〜1年) | 夜間部4年(働きながら) |
| 試験難易度 | 合格率 約25%(2025年) | 合格率 70〜90%(年度により変動) |
| 平均月収 | 約34万円 | 約32〜38万円(施設による) |
| 仕事の中心 | 書類・調整・面談 | 身体介助・運動指導・評価 |
| 現場との距離 | 現場から離れる | 現場で直接関わる |
| 国家資格 | 都道府県資格(5年更新→廃止予定) | 国家資格(更新不要) |
| 介護士経験の活かしやすさ | △知識は活きるが現場感は減る | ◎生活場面の観察力がそのまま武器 |
▷どちらが向いているかはチェックリストで確認できます。
どちらが上というわけではありません。ただ、「介護士として現場で身体に関わることにやりがいを感じてきた」という人に、ケアマネへの道は思ったより向いていないことが多いです。
これが私の15年以上見てきた現実です。
では、なぜそう言えるのか——順番に説明していきます。
ケアマネの現実——介護福祉士から目指す人が知らない3つの落とし穴

落とし穴①:試験合格率は約19%。介護福祉士の3倍難しい
ケアマネ(介護支援専門員)の試験は、介護福祉士の国家試験とは難易度が全然違います。
約3分の1という合格率の差は、体感以上に大きいです。
独学で合格する人もいますが、多くの人は市販の問題集だけでは対応しきれず、通信講座に数万円かけるケースも少なくありません。
しかも受験資格がある程度きびしく、介護福祉士として※5年以上かつ900日以上の実務経験が必要です。今すぐ目指したいと思っても、経験年数が足りなければ受験すらできません。
※今後は、5年から3年に短縮し、緩和する方向になっていきます(厚生労働省:「2025年10月27日 第127回社会保障審議会介護保険部会 議事録」)。
落とし穴②:年収アップは思ったより小さい
「ケアマネになれば給料が上がる」と思っていませんか。実際のデータを見ると、その期待にはギャップがあります。
介護支援専門員(ケアマネ)の平均月給:約34万円
介護福祉士の平均月給:約30万円
差額:約4万円/月。年間で約48万円の差。ただし施設・地域によって大きく変動あり。
出典:介護労働安定センター「介護労働実態調査」
月4万円の差は確かにあります。しかも、ケアマネになると夜勤がなくなるため、体の負担のことを考えると働き方が大きく変わります。しかし、ケアマネ試験の勉強に費やした時間・通信講座費用(2.5万円〜16万円)・合格後の実務研修費用(約4〜7万円/5年※)を合わせると、元を取るまでに時間がかかることが多いです。
「資格を取れば給料が大きく変わる」というイメージを持っている方には、少し現実的に考えて数字で判断することも必要です。
※ケアマネ資格の5年ごとの更新制に関しては、今後廃止の方針です(厚生労働省:「2025年10月27日 第127回社会保障審議会介護保険部会 議事録」)。
落とし穴③:「現場から離れる」ことへの後悔が出やすい
ケアマネの仕事は、ケアプランの作成・サービス事業所との調整・利用者の面談が中心です。
利用者さんの身体介護の現場からは距離ができます。
「介護の仕事が好きで資格を取ったのに、気づいたら一日中パソコンと電話で調整業務をしている」——この感覚を持ったケアマネの知人を、私は複数人見てきました。

ケアマネって難しいんでしょ?
でも介護士の次と言えばケアマネって、なんとなくそういうもんだと思ってたよ。

そのイメージ、業界全体がそう思いがちやな。
向いている人には最高の資格やで。ただ「現場で身体に関わりたい」という気持ちが強い人には、意外と合わへんことも多いで。

現場から離れるとやりがいを感じないって人もいるってこと!?

そうやな。ケアマネを選んだ同期が、3年後に「現場に戻りたい」と言ってたのを思い出したわ。悪い資格じゃないけど、自分が何をしたいかによって全然違うで。
介護士がPTを目指すのは「アリ」か|元介護福祉士PTが本音を語る
介護士の経験は、PTになったとき本当に活きるか
結論から言うと、活きます。しかも、思った以上に活きました。
私が老健で介護士として働いていた頃、毎日食事介助・排泄介助・移乗介助をしていました。そのとき無意識にやっていたのが「どうすれば、移乗が楽にできるんだろう」「この人は立ち上がりのときなぜ左足に体重が乗らないんだろう」という観察です。
実際、この観察眼があったからこそ、介助方法を試行錯誤することにつながりました。PTになってからも自分自身や患者さん・ご家族への楽な介助方法を実践・伝えることができています。
PTになってから、気づいたのは、介護士として積み上げた「生活場面での動作観察」は、教科書からだけでは身につかないということです。
PTの採用面接でも、「介護士の経験があるからこそ在宅・生活期でのリハビリ視点が違う」と評価されたことがありました。これは介護士出身のPTにしかない強みです。
働きながらPTを目指せる現実的なルート
「学校に通い直すなんて現実的じゃない」と思っていませんか。私もそう思っていました。でも夜間部という選択肢を知ったとき、状況が変わりました。
夜間部専門学校は、18時〜21時の授業を4年間受けながらPTの資格が取れるルートです。昼間は今の仕事を続けながら通えます。
授業時間:18:00〜21:00(週5〜6日)
期間:4年間(昼間部は3年が多いが、夜間部は4年制が一般的)
学費:4年間で300〜450万円が目安
専門実践教育訓練給付金(ハローワーク):最大70%・年間56万円まで給付される制度あり
もちろん「きつい」部分もあります。仕事が終わってから授業に行き、実習期間は睡眠が削られる日もあります。それでも卒業できた理由と、夜間部の具体的な実態については、別の記事で詳しく書いています。
学費や普段の勉強・試験について実習の大変さ・続けられた理由を実体験を基に書いています。
▶【現役PTが語る】働きながら理学療法士を目指す夜間部の正直な実態|きつい理由と乗り越えた方法|ヤマ転職裏情報
ケアマネを選んだ同期と、PTを選んだ私——15年後の現実比較

Aさん(ケアマネを選んだ同期)のその後
老健で同期だったAさんは、介護福祉士を取って2年後にケアマネ試験に挑戦しました。3回目で合格。その後、訪問介護事業所でケアマネとして働いています。
Aさんは今、月収は介護士時代より5万円ほど上がりました。夜勤もなくなり、土日も休めるようになった。「生活は安定した」とAさんは言います。
ただ先日、こんな話を聞きました。
「たまに利用者さんのお風呂介助とか手伝うことがあるんだけど、ああ、自分こういう仕事が好きだったなって思う。ケアマネの書類仕事も大事だってわかってるけど……」
「それに※5年ごとにある更新も勉強する時間に更新費用が大変で……」
Aさんはケアマネとして立派にやっています。でも「向いていた仕事だったかどうか」については、自分自身でも答えが出ていない部分があるようでした。
※ケアマネ資格の5年ごとの更新制に関しては、今後廃止の方針です(厚生労働省:「2025年10月27日 第127回社会保障審議会介護保険部会 議事録」)。
私(PTを選んだ)のその後——介護士時代と何が変わったか
私がPTを選んだ理由は、利用者さんからの一言がきっかけでした。
ある日、老健の介護士として働いている時に、利用者さんから「どうしたらもっと歩き方良くなるの?」と聞かれたのに何も答えられなかった自分自身がこれではダメだと思ったからです。
そこから勉強して何とか働きながら夜間部に通うわけですが、夜間部の4年間はきつかった。でも、専門学校の勉強中やPT免許を取って働き始めたとき、「これが向いている仕事だ」という感覚がありました。患者さんの身体が動くようになっていく過程に、毎日やりがいを感じていました。
年収は、介護士時代より最終的に100万円以上アップしました。ただ正直に言うと、PTになってすぐはそれほど高かったわけではありません。夜間部の学費に4年かかり、1年目のPT給与は介護士時代より月5万円アップ程度でした。じわじわと上がってきたのは5年目以降です。
介護士時代の経験が活きた瞬間は、重度の患者さんの身体介助(特に移乗動作)のときでした。移乗介助のときの力加減とかはわかっていました。そこに勉強した理論的なボディメカニクスを理解した上で介助することができたので、体重が重く全介助の方の移乗動作も1年目から行えていました。
さらに、利用者さんの自宅に伺い、生活動作の中でリハビリを考えるとき、老健での介護士経験が生きました。「この人の筋力や身体機能だと、手すりはこっちにあった方がよいだろう」「生活動線を考えるとどういう生活になるか」という想像力は、介護士として現場を歩いてきた人間の強みでした。
夜間部進学を見越した職場探しは、エージェントの内部情報が一番正確です。
「PTを目指す前に職場環境の確認が必要」
エージェントに頼ることで正確な情報が得られます。まず情報収集だけでもしてみてください。
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※登録後はアドバイザーとの面談日程をゆっくり決めるだけです。
ケアマネに向いている人・PTに向いている人|自己診断チェックリスト

どちらが「正解」ではありません。でも、向いている方向性はあります。個人によって向き不向きがあります。正直にチェックしてみてください。
▷ケアマネに向いている人(3つ以上当てはまれば有力候補)
□書類作成・調整業務・段取りが得意、または苦にならない
□医療制度・介護保険のルールや法律の勉強が面白いと感じる
□介護スタッフや医療機関、行政など多くの関係者と連携し、コミュニケーションがとれる
□身体介護より「話を聞いてケアプランを組む」仕事に惹かれる
□今の介護事業所内でキャリアアップしたい(施設内でのポジション向上が目標)
□実習や長期の学校通学なしで資格が欲しい
▷PTに向いている介護士の5つの特徴(3つ以上当てはまれば検討の価値あり)
□介護中に「なぜこの人は動けないのか」が気になったことがある
□「できないことを手伝う」よりも、「できるように支援したい」気持ちがある
□身体に直接関わって、機能が回復していく過程に関わりたい
□リハビリ職が患者に関わっている場面を見て「自分もやってみたい」と思ったことがある
□専門性向上に向けて働きながら学び続ける意欲がある

チェックしてみたら、PTの方に4つ当てはまったな〜。
でも4年間って長いな〜……。本当に続けられるかな?

その不安は正直なところやな。
4年は確かに長い。でも人生はもっと長いで。
向いていることをやってる4年と、向いていないことをやり続ける何十年、どっちがしんどいと思う?

……それで言うと、向いてないことをやる4年の方がしんどいね。

そう思うよな。まずは夜間部を調べてみることやな。
働きながらできるから、今の仕事を辞めなくていいで。
情報を集めてから判断するだけでも全然違うから、まずは一歩踏み出すことかな。
PTを目指す介護士が最初にやるべき3つのこと

STEP1:夜間部専門学校の資料を3校以上請求する
夜間部の学校は地域によって数が違います。まず選択肢を把握するために、資料請求だけでもしてみてください。資料請求は無料です。
確認すべきポイントは以下の3点です。
✓夜間部の授業時間と曜日(自分の勤務スケジュールと合うか)
✓臨床実習期間と実習先(実習中の勤務調整が必要になる)
✓学費の総額と、専門実践教育訓練給付金の対象校かどうか
STEP2:今の職場が夜間部と両立できるか確認する
夜間部進学で一番の壁になるのが、実習期間の職場対応です。理学療法士の実習は昼間に行われるため、数週間〜数ヶ月、仕事を休む必要が生じます。
入学前に職場の上司に確認すべき内容はこの3点です。
✓実習期間に長期の有給休暇が取れるか
✓定時退社や時短勤務が基本的に可能か(18時に授業が始まるため)
✓「学業との両立」を職場として応援してもらえるか
これが難しい職場環境の場合、入学前に転職を検討した方がいいケースがあります。
働きながら理学療法士を目指すための実例をまとめています。
▶夜間部を乗り越えるためにやっておくべき4つの準備
STEP3:介護職専門エージェントに「夜間部対応の職場」を相談する
夜間部進学を前提とした職場探しは、エージェント経由が最も効率的です。
求人票には「実習期間の休暇対応可能」とは書いていません。でもエージェントのアドバイザーは、施設の内部事情を知っているため「この施設は学業との両立に理解がある」という情報を事前に教えてもらえます。
▷PTを目指す前に確認すべき3点チェック表
| 確認項目 | 確認方法 | 対応が難しい場合 |
| 実習中に長期有給が取れるか | 職場上司に直接相談 | 入学前に職場変更を検討 |
| 定時退社が基本的に可能か | (現職)職場上司に直接相談 (転職)勤務実績を確認・エージェントに照会 | 夜間部と両立できる職場へ転職 |
| 学業との両立に理解がある職場か | (現職)職場の温度感や前例 (転職)エージェントの内部情報で確認 | エージェント経由で転職先を探す |
PTを目指す前に「今の職場で夜間部と両立できるか」の確認が最重要ステップです。
求人票には書いていない施設の内部情報を、エージェントのアドバイザーは知っています。登録・相談・施設見学の調整まで全部無料。転職を急かされることはありません。
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※「夜間部に通いながら働ける職場を探している」と伝えるだけでOKです。
よくある質問(FAQ)

- QケアマネとPTの年収はどのくらい違いますか?
- A
ヤマA.ケアマネは約34万円/月、PTは32〜38万円/月。※施設により異なる
ケアマネもPTどちらも夜勤がなく働き方が安定しているのが特徴。
長期的な年収アップを重視するなら、ケアマネの方が事業所内で役職に就きやすいかもわからん。PTは5年目以降に施設や専門性によって差がつきやすい傾向があるところが多いな。
※ただし、働く場所による
- Q介護福祉士からケアマネになるのは難しいですか?
- A
ヤマA.難しい。
ケアマネ(介護支援専門員)の試験合格率は約25%(2025年度・厚労省)で、介護福祉士の国家試験(約70%)と比べると格段に難易度が高くなるで。また受験資格として介護福祉士の資格取得後、実務経験5年以上900日以上の実務経験が必要。でもこの5年要件を3年に短縮する方向で検討されているで(厚労省2025年10月議事録)。
- QPTの学校に通いながら介護のバイトはできますか?
- A
ヤマA.1〜3年次は可能なケースが多い。
夜間部の場合、18時〜21時が授業のため、日中に介護の仕事を続けられます。デイサービス・デイケアとかが一般的。ただし、実習期間(2〜3年次の評価実習・4年次の総合実習)は昼間に実習先へ通うため、その間は現職を休む必要があるで。
- QPT国家試験の勉強と仕事を両立するコツはありますか?
- A
ヤマA.効率的な勉強をすることが重要。
試験勉強と仕事を両立するためには、通勤時間などのスキマ時間を活用したり、過去問を繰り返し解くことで効率的な学習が可能。PTは試験に受かってからも勉強せなあかんから、暗記というよりも理解する勉強をしておくことが大切。
- Q介護福祉士を持っていると理学療法士の学費は安くなりますか?
- A
ヤマA.学費は直接安くならないが、制度はある。
資格による学費免除はありませんが、専門実践教育訓練給付金(ハローワーク経由)を使えば支払った学費の最大70%(年間上限56万円)が給付されます。
介護士として働きながら夜間部に通う場合、この給付金を活用するのが一般的です。まずはハローワークで対象校かどうかを確認するか、エージェントに相談するとスムーズです。
専門実践教育訓練給付金についてわかりやすくまとめています。
▶【現役PTが語る】働きながら理学療法士を目指す夜間部の正直な実態
まとめ|介護福祉士の次の選択で後悔しないために

「ケアマネが当たり前」という雰囲気に流されずに、自分に合う道を選ぶのが後悔しないコツです。
これがこの記事で一番伝えたかったことです。
もう一度、判断のポイントを整理します。
●調整・書類・マネジメントが得意 → ケアマネが合っている可能性が高い
●身体に直接かかわりたい・「なぜ動けないか」が気になる → PTを検討する価値がある
●PTを目指すなら、今の職場が夜間部と両立できるかの確認が最初の一歩
Aさんは今もケアマネとして立派にやっています。でも「身体に関わる仕事が好きだった」という気持ちも持ち続けています。
私はPTを選んでよかったと思っています。それは「自分のしたいこと・向いていることを選んだ」からです。
あなたも、どちらに向いているかをしっかり確認した上で動いてほしいです。
PTという選択に少しでも興味が出た方は、まず夜間部の情報収集から始めてみてください。動き出した人から景色が変わります。
介護士時代の経験を踏まえてまとめています。
▶関連記事:介護士から理学療法士になれる?年収・学費・養成校の選び方まで元介護士PTが本音で語る|ヤマ転職裏情報
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