「公務員PTって、実際どんな人が採用されてるんだろう?」
そう思って調べてみると、出てくるのは「コミュニケーション能力が大事」「高倍率を突破する必要がある」といった、どこかで見たような一般論ばかりではありませんか?
本当に知りたいのは「自分は公務員に向いているのか?」ですよね。
私は実際に公務員採用試験を受けて県立病院に採用され、内部で「採用されてくる人」と「辞めていく人」の両方を見てきました。この記事で話すのは、その中で見えてきた傾向です。
先に言っておくと、向いている人だけでなく、向いていない人についても正直に書きます。というのも、私自身が最終的には辞めた側の人間だからです。だからこそ、公務員を美化せずに話せると思っています。
・採用されているのは、ひとことで言えば「真面目で協調性のある、組織で浮かない人」
・採用側が見ているのは能力の高さより「長く続けてくれるか・一緒に働けるか」
・逆に、やりたいことが明確な人ほど辞めていく傾向がある(筆者もその一人)
・向き不向きは優劣ではない。自分がどちらのタイプかを知ることが、後悔しない選択につながる
「自分は公務員に向いているのか」を判断するには、比べる相手が必要です。公立病院の条件だけ見ていても、それが恵まれているのかどうかは分かりませんよね。
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採用側が本当に見ているもの——「能力」より「続けられるか」

まず知っておいてほしいのは、公務員PTの採用は「優秀な人を採る」試験ではない、ということです。もちろん能力は見られます。でも、決め手はそこではありませんでした。
採用枠は1〜2名。だからこそ「失敗できない採用」になる
公立病院のリハビリ職の採用枠は、多くても数名、少ないときは1〜2名です。欠員が出たときにしか募集がかからないことも珍しくありません。
つまり採用側からすると、一人ひとりの重みが極端に大きいということです。
民間病院のように「何人か採って、合わなければ入れ替える」という発想が使えないんです。採用したら定年まで一緒に働く可能性がある。この前提が、採用基準そのものを決めています。

えっ、辞めたらすぐに補充すればいいんじゃないの?

公立病院の場合は、辞めたら途中補充はほとんどないんや。あっても非常勤職員を採用するねんけど、それも減ってきてるねん。
だから、辞めたら残りの期間はその人数のまま働かなあかんくなるねん。
見られているのは「10年後も自分と気持ちよく一緒に働いているか」
公務員は原則として長期雇用が前提です。だから面接官が知りたいのは「この人は3年後、10年後も自分と気持ちよく一緒に働いてくれるだろうか」という点です。
臨床が上手いかどうかより、自分の部下として気持ちよく一緒に働いてくれるかどうかの方が重視されます。
※面接官が臨床に力をいれたい人であれば、臨床力を重視していることもあります。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査を見ても、公務員の給与体系は勤続年数に応じて上がる設計です。制度そのものが「長く勤める人」を前提に組まれているわけですから、採用の目線がそこに向くのは自然なことになります。
面接は2回。それぞれ見ている人が違う
私が受けたときは面接が2回ありました。1回目はリハビリの課長・部長クラス、2回目はそこに病院局のトップが加わる形です。
1回目で見られているのは、率直に言えば「自分の下で一緒に働いてくれそうか」。現場の責任者が、自分の部門の方針に合う人かどうかを判断します。
2回目はより組織全体の目線が入ります。公務員としてしっかりと公務を全うできそうか。異動になっても素直に受け入れてくれるか……。
ここで伝えておきたいのは、面接官によって重視する点が違うということです。だから多少の運の要素はあります。ただ、どの面接官にも共通して見られていた軸はありました。
それが次の話です。

じゃあ臨床能力って、あんまり関係ないの? 勉強してきた意味が……。

いやいや、もちろん見られるで。臨床の話ができひんかったら話にならん。
ただな、能力が一番の決め手やなかった、っていうのが正直なところや。
「この人となら長く一緒にやれそうやな。」
最後はそこで決まってる印象やったわ。
では具体的に、どんな人が採用されているのか。私が内部で見てきた共通点を話します。
| 面接 | 面接官 | 主に見られること |
|---|---|---|
| 1回目 | リハビリ課長・部長クラス | 自分の下で一緒に働けそうか、部門の方針に合うか |
| 2回目 | 上記+病院局のトップ | 公務員として職務を全うできるか、異動を受け入れられるか |
採用される人に共通する3つの特徴

職場を見渡して気づいたのは、採用されている人には驚くほど共通点があるということでした。大きく3つに整理できます。
特徴①:真面目である——「安心して任せられる人」
公務員といえば、「真面目」なイメージがありますよね。一番わかりやすい共通点がこれです。
時間を守る、報告を怠らない、決められたことをきちんとやる。派手さはなくても、報連相や言われたことの積み重ねができる人が採用されています。
背景には公務員特有の事情があります。公務員は不祥事を起こすと、病院名と実名で報道される立場です。採用側からすれば「この人は問題を起こさないか」という視点を外せません。
真面目さは、単なる性格ではなく採用のリスク管理そのものなんです。
特徴②:協調性がある——組織で浮かない人
採用されている人を思い返すと、大きく2つのタイプに分かれます。
①礼儀正しく、上司を立てられる人
②明るくて、職場の雰囲気を良くする人
共通しているのは「組織の中で浮かない」こと。上司の方針に対して真っ向から意見をぶつけるより、まず素直に受け止めて、指示されたことを丁寧にやる人が多い印象でした。良し悪しではなく、それが公務員組織で求められる立ち回りなんだと思います。
特徴③:環境の変化を受け入れられる
公立病院では異動があります。県立病院なら県内の別の病院へ、市立病院なら関連施設へ。希望は出せても、最終的に決めるのは組織です。3年目以降は特に、遠方への異動や専門外の部署への配属もあり得ます。
面接で「希望していない病院に異動になったらどうしますか」と聞かれるのは、まさにここを確認するため。変化を受け入れられる人かどうかは、はっきり見られています。

家庭の事情などは考慮してくれないの?

それはさすがに考慮してくれるで。
毎年、上司と面接があるからな。でも絶対その意見が通るかどうかは、上司の考え次第になるねん。
内部にいて気づいたのは、採用される人は必ずしも「一番技術がある人」ではないということでした。
礼儀正しくて上司を立てられる人。あるいは、いるだけで職場の空気が明るくなる人。この2タイプが本当に多かったです。共通していたのは、上司の言うことに反発するより、まず素直に聞いて動けるという姿勢です。「人間として素行や一般常識が備わっているか」を見ている部分が大きいと感じました。
面接官も人間ですから、「この人と毎日一緒に働きたいか」で判断している部分が大きいのだと思います。突出した実力より、安心して任せられること。それが公務員採用の実態でした。

それって……優等生タイプってこと? 僕、そんなに器用じゃないんだけど。

優等生っていうより「組織で働くのが苦にならん人」やな。器用さの問題じゃないで。
あと勘違いせんといてほしいのは、これは優劣の話ではないってこと。向いてるか向いてないかは、自分自身の価値とは関係ないからな。
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採用される人の傾向がわかったところで、次は反対側——辞めていった人たちの話をします。
向いていない人・辞めていった人の傾向

ここからは、あまり書かれない話をします。公務員を辞めていった人たちには、はっきりとした共通点がありました。そして私自身も、その中の一人です。
傾向①:やりたいことが明確にある人
意外に思うかもしれませんが、辞めていく人は「不真面目な人」ではありません。むしろ逆で、自分のやりたいことがはっきりしている人ほど辞めていきます。
組織の中では、個人のやりたいことは必ずしも優先されません。方針を決めるのは組織であって、個人の情熱がそのまま形になるわけではないからです。この構造に窮屈さを感じる人は、いずれ限界を迎えます。
実際、自費リハビリを立ち上げるために辞めていった人もいました。
傾向②:副業や外部活動をしたい人
地方公務員法では営利企業への従事などが原則として制限されています。
●情報発信で収入を得る
●自分の事業を持つ
●外部の仕事を受ける
こうした活動の多くに制約がかかります。
収入源を増やしたい人、臨床以外の形で社会と関わりたい人にとって、この制約は想像以上に重くのしかかります。私が辞めた理由も、突き詰めればここでした。
【あわせて読みたい】
私がなぜ公務員として安定を捨ててまでなぜ辞めたのか?についてまとめています。
▶年収600万の公務員PTを、私があえて辞めた理由
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傾向③:上司の方向性と合わない人
公務員組織では、上司の方針が部門の方向性をそのまま決めます。そして異動によって、その上司が変わります。上司が変わると方針も働いている環境もガラッと変わります。相性の良い上司の下で伸び伸びやれていた人が、異動を機に一気に働きづらくなる——これは実際によくある話です。
自分の裁量で環境を変えにくいというのは、安定の裏側にあるリスクでもあります。自分で環境を選び直すのは、公務員組織ではかなり難しいのが実情です。
傾向④:家庭の事情で続けられなくなる人
これは向き不向きとは別ですが、現実として多いパターンです。配偶者の転勤が決まると、異動範囲が限られる公務員では対応しきれないことがあります。制度が安定していても、人生の変化にすべて対応できるわけではありません。
辞めていった人を思い返すと、理由はさまざまでした。配偶者の転勤という家庭の事情の人もいれば、自費リハビリを立ち上げるために飛び出していった人もいます。
ただ、自分の意思で辞めた人には共通点がありました。「やりたいことが明確にあった」ということです。誰も、逃げるように辞めたわけではありません。むしろ前を向いて出て行った。
そして私も、同じ理由でその列に加わりました。だからこそ言えます——辞めることは向いていなかったというだけで、失敗ではありません。

向いてないって言われると、なんかダメな人みたいで落ち込むんですけど……。

ちゃうちゃう、そこは絶対に勘違いせんといて。向き不向きは優劣やない。
公務員が合う人には、ほんまに良い環境やで。安定してるし、腰を据えて働ける。休みも取りやすい。でも合わへん人にとっては窮屈なだけ。どっちが上とか下とかやなくて、単純に「合うか合わへんか」の話やねん。
では、自分がどちらのタイプなのか。見極める方法を整理します。
自分に向いているかを見極める方法

ここまでの話を、自己チェックできる形にまとめました。まずは表で、自分がどちら寄りかを確かめてみてください。
| ◯ 公務員が向いている人 | ✕ 公務員が向いていない人 |
| 組織の方針に沿って働くのが苦にならない | 自分のやりたいことを実現したい気持ちが強い |
| 安定した環境で腰を据えて働きたい | 変化や刺激を求めたい |
| 異動・配属の変化を受け入れられる | 働く場所や環境を自分で選びたい |
| 副業や外部活動に興味がない | 収入源を増やしたい・情報発信を自由にしたい |
| チームで動くことにやりがいを感じる | 個人の裁量で成果を出したい |
左側に多く当てはまったなら、公務員はかなり良い選択肢になります。右側が多かった人は、いったん立ち止まって考えた方がいいかもしれません。
5つの質問で自己診断する
表よりもっとシンプルに判断したいなら、次の5つに答えてみてください。
□ ①10年後も同じ職場で働いている自分を、前向きに想像できますか?
□ ②副業や外部活動を、これから先やりたいと思いますか?
□ ③希望しない場所への異動を、受け入れられますか?
□ ④自分で決めて進めていきたいですか?
□ ⑤組織や上司の方針に従うことは苦ではありませんか?
①がYes
②がNo
③がYes
④がNo
⑤がYes
この5つが揃うなら、公務員はかなり向いています。逆にNoが3つ以上なら、いったん立ち止まって考えた方がいいかもしれません。特に②がYes(副業したい)の場合は、制度上どうにもならない部分なので慎重に判断してください。

でもさ、公務員でも副業OKの流れがきているんじゃないの?

それは自治体によってめっちゃ差があるで。
しかも、何でも副業がOKってわけじゃなくて、ガイドラインに基づいて、許可をとってやらなあかんからまだ縛りは大きいで。
「どちらでもない」人はどう考えるか
正直、この5つで明確に答えが出る人ばかりではありません。私も20代の頃なら①にイエスと答えていたはずです。人は経験によって考えが変わります。
だから判断すべきは「今の自分」だけでなく「5年後の自分」でもあります。今は組織で働くことに満足していても、やりたい思いが膨らんできたときに動けるかどうか。そこまで含めて考えておくと、後悔が少なくなります。
迷ったら、両方の情報を持って比べる
公務員が向いているかどうかは、公務員だけを見ていても判断できません。民間にどんな職場があって、自分の経験がどう評価されるのかを知って、はじめて比較になります。
「安定してそうだから」という理由だけで選ぶと、入ってから「思っていたのと違った」となりやすい。それは採用側が一番避けたいことでもあります。
公務員が向いているかどうかを、公務員の情報だけで決めるのはもったいないです。民間の条件、施設ごとの働き方、自分の経験の評価——比較材料が増えるほど、選択の精度は上がります。私も両方を知った上で選んだからこそ、その後の決断にも迷いがありませんでした。無料で情報だけ集められるので、判断の材料として持っておくと安心です。
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※ 転職を急かされることはありません。
よくある質問(FAQ)

- Q公務員に向いている人はどんな人ですか?
- A
ヤマ真面目で協調性がある人。
組織の方針に沿って働くことが苦にならない、それに加えて異動や配属の変化を受け入れられること。採用側は能力の高さより「長く続けてくれるか」「一緒に働けるか」を見てるから、安心して任せられる人柄が評価される傾向やで。
- Q公務員に向いていないのはどんな人ですか?
- A
ヤマやりたいことが明確にある人。
副業や外部活動をしたい人もそうなるな。地方公務員法で営利活動が原則制限されるから、公務員になると収入源を増やしたい人には制約が大きいで。あと、働く環境を自分で選びたい人にとって、異動のある組織は窮屈に感じられると思うわ。
- Q理学療法士の公務員試験の倍率はどれくらいですか?
- A
ヤマ自治体や年度によってバラバラだが、高い。
採用枠が1〜2名という募集は珍しくなくて、倍率は年度によって10倍以上となり高くなりがちや。ただ欠員募集が中心やから、募集が出た年に受けられるかどうかっていうタイミングの要素も大きい。倍率だけで諦める必要はないで。
- Q公立病院の理学療法士はどんな働き方ですか?
- A
ヤマ基本的には急性期病院での勤務。
多職種連携の中でリスク管理をしながら働くことになるで。主に急性期病院で働くことになるな。給与は俸給表に沿って安定的に上がって、ボーナスや福利厚生も手厚い。一方で異動があって、働く場所を自分で選びにくいっていう特徴もあるな。
- Q向いていないと思ったら、公務員は諦めるべきですか?
- A
ヤマ諦める必要はない。
向き不向きは優劣やなくて、相性の話や。ただ、向いてへん自覚があるなら、公務員以外の選択肢も並行して見ておくことをおすすめするで。比較した上で選べば、どっちを選んでも納得感が残る就職・転職となるで。
- Q公務員PTは何歳まで受験できますか?
- A
ヤマ59歳までが増えている。
自治体によるけど、最近は年齢制限を緩和してるところが増えてるで。自分の場合は、受けたときは35歳までやったけど、今は59歳まで拡大してる自治体も多いな。でも募集要項の受験資格は必ず確認してな。
- Q公務員PTの異動はどのくらいの頻度でありますか?
- A
ヤマ3年目以降から対象となり、その人による。
だいたい3年目以降から対象になることが多いな。毎年上司との面談があって希望は出せるけど、最終的に決めるのは上の組織や。県立やと県内の別病院、市立やと関連施設への異動が中心になるで。
まとめ|向き不向きは優劣じゃない。知っておくことに意味がある

最後に、この記事のポイントを整理します。
◆採用されているのは「真面目で協調性のある、組織で浮かない人」
◆採用側が見ているのは能力より「長く続けてくれるか・一緒に働けるか」
◆やりたいことが明確な人ほど辞めていく傾向がある
◆向き不向きは優劣ではない。知っておくことが後悔しない選択につながる

向き不向きは優劣じゃないで。
合う人には最高の職場やし、合わへん人には窮屈なだけ。それだけの話や。
大事なのは、自分がどっちのタイプかを知っておくこと。それが分かってたら、公務員を選んでも選ばんくても、あとで後悔せんで済む。
まずは上の5つの質問に、正直に答えてみてな。そこから見えてくるもんがあるはずやで。
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