公務員から民間へ逆戻りして気づいた——学会発表が「出張」になる職場と、「自己研鑽」で終わる職場の決定的な差|ヤマ転職裏情報

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キャリア

学会発表、今年も有給を使って自腹か……

参加費を払い、交通費を出し、宿を取って、そのうえ貴重な休みが1日消える。勉強したい気持ちはあるのに、時間もお金も削られていく……。
これが何年も続くと、さすがにしんどくなってきますよね。

私は民間の回復期病院から公務員(県立病院)に移り、10年勤めた後、また民間のクリニックに戻りました。その中で一番驚いたのが、学会参加・発表の扱いです。

公務員では学会参加・発表が「出張」になり、しかも代休まで出ました。民間時代の自分からすると、別世界の話でした。

ただし、公務員にも面倒な面があります。決裁書と復命書という手続きの壁です。両方を経験したからこそ、良いところも面倒なところも正直に比べていきます。

この記事の結論

・学会発表の扱いは職場で真逆になる。民間の多くは「自己研鑽」=有給+自腹、公務員は「出張」=勤務扱い+代休
・公務員は研修費や旅費も出るが、決裁書・復命書という手続きの壁がある
・民間でも「病院が行かせたい学会」なら旅費が出る。つまり職場が価値を認めるかどうかの問題
・自己研鑽に力を入れたいなら、面接で「学会・研修の扱い」を必ず確認しておくべき

先に少しだけ

学会や研修の扱いは、求人票にはまず書かれていません。だから多くの人は入職してから「ここは自腹なのか」と知ることになります。
私も転職サイトで求人を眺めるようになって、施設ごとに教育体制の書き方がまったく違うことに気づきました。無料で見られるので、比べる材料として持っておくと判断しやすくなります。

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民間の学会発表は「自己研鑽」——有給と自腹が当たり前だった

自腹で学会発表の準備をする理学療法士

まず、多くのPTが経験しているであろう民間の実態から整理します。

学会に行くのに有給を使う——それは本当に休みなのか

民間の回復期病院にいた頃、学会発表は完全に「個人の勉強」という扱いでした。平日開催なら有給を取る。土日開催なら、そもそも休みを潰して行く。どちらにしても、休息のための時間が消えていきます

厚生労働省が2020年に出した通達では、上司の明示・黙示の指示がある場合は、時間外に行われるものでも労働時間に該当するとされています。
一方で、業務上必須ではない行為を自由意思で行う時間は労働時間に当たらないとも示されています。つまり「自分から行きたくて行っている」という形になると、勤務扱いにはならないわけです。

ビギナー君
ビギナー君

お金も休みも減るのに、勉強のために「学会」に行く人なんているの?

ヤマ
ヤマ

リハビリ業界では意外と多いねん。
自分が20代の頃も、先輩たちがそうしていたから当たり前やと思ってた。
でもな、今から思えばそれは業界の常識であって、当たり前のことやない。
制度で支えてくれる職場も、ちゃんとあるからな。

参加費・交通費・宿泊費はすべて自腹

費用も自分持ちでした。全国学会なら参加費に交通費、遠方なら宿泊費も加わります。私の場合、1〜5年目のあいだは学会や研修会に年間3〜10万円ほど使っていました。

5年間で計算すると、少なく見積もっても15万円、多い年が続けば50万円近くになります。給料が上がりにくい若手の時期に、この負担は決して軽くありません。

ビギナー君
ビギナー君

理学療法士の給料からしたら、軽くない金額だね。

ヤマ
ヤマ

確かに「自己投資」として割り切る考え方もあるで。
若い内に経験しておくことで人脈も広がるし、モチベーションも上がるからな。

ただな、同じ自己投資でも、支えてくれる職場ならその費用はゼロになる。
せやから「投資するかどうか」やなくて「どこで投資するか」を考えた方がええで。

ただし例外もある——「病院が行かせたい学会」なら旅費が出た

すべてが自腹だったわけではありません。数名だけが選抜されるような発表、つまり病院として送り出したい学会のときは、旅費交通費が支給されました。

この差が何を意味するか。要するに、その学会に組織としての価値があるかどうかで扱いが変わるということです。個人の勉強なら自腹、組織の利益になるなら経費
線引きはそこにあります。

ビギナー君
ビギナー君

やっぱり、勉強したいだけなのに、休みもお金も減っていくのって……正直しんどいよ。

ヤマ
ヤマ

その感覚、まっとうやで。おかしいことちゃう。
それが何年も続いたら「もう学会発表したくない」ってなるのも当然や。
やる気の問題やなくて、環境の問題であることも多いな。

では公務員はどうだったのか。私が本当に驚いた制度の話をします。

公務員は学会発表が「出張」になる——代休まで出る

出張扱いで学会発表を行う公務員の理学療法士

結論から言います。公務員時代、学会発表は出張として扱われました。しかも参加した日数分の代休が出ます。

学会は「出張」——つまり勤務時間内の扱いになる

公務員の世界では、決裁書によって承認が得られた学会や研修への参加は職務として位置づけられます。決裁を通せば出張命令が出て、その日は勤務したものとして扱われます。つまり、有給を使う必要はありません。

民間時代、有給を削って学会に行っていた身からすると、この違いは衝撃でした。
同じ行為なのに、片方は「休みを使った個人的な活動」で、もう片方は「仕事」なんです。

代休が出る——2日間の学会なら2日分

さらに驚いたのが代休です。土日開催の学会に出たとして、決裁が通っていれば、その日数分の代休が後日取得できます。

2日間の学会なら2日分です。

学会に行って、勉強して、そのうえ休みが返ってくる。民間時代の自分に話しても信じてもらえない驚きの制度ですよね。

研修費・旅費も支給される

参加費や交通費、宿泊費も規定の範囲で支給されます。
自腹で年間3〜10万円を出していた頃と比べると、この差は年収以上に生活実感を変えました。

ビギナー君
ビギナー君

メリットだらけだね。
これなら、全員使うよね。

ヤマ
ヤマ

意外とこの制度を使う人と使わない人は、二極化していたな……。
つまり、旅費交通費が出なくても、学会や研修会に行く人はいくし、行かない人は制度を整えてもいかないってことやな。

ただし施設によって条件は違う

誤解のないように書いておくと、どの公立病院でも無制限に認められるわけではありません。年間1回までという施設もあれば、筆頭演者として発表する場合は全回申請できるという施設もあります。
運用には幅があることは知っておいてください。

ヤマ
ヤマ

公立の施設によっては、資格取得の受験費や旅費交通費がでるところもあったで。

それでも「自己研鑽として個人が負担する」のが前提の職場とは、根本的な考え方が違います。

比較の軸民間(多くの場合)公務員(公立病院)
勤務の扱い有給を使う/休日に自費参加出張扱い=勤務時間内
代休なし参加日数分が出る(要決裁)
参加費・旅費原則自腹(年3〜10万円)規定の範囲で支給
手続き口頭〜報告書(施設による)決裁書+復命書(他部署連携)
例外病院が送り出す学会は参加費・旅費が出る施設により回数制限あり
体験談①:初めて代休が出たときの驚き

公務員になって最初に学会へ行ったとき、代休が出ると知って本当に驚きました。「こんなに優遇されているの?」というのが正直な感想です。

民間時代は、有給を削って自腹で行くのが当たり前でした。
それが公務員では、勉強に行くことが仕事として認められ、休みまで返ってくる。制度として職員が守られているんだと、そのとき初めて実感しました。

ビギナー君
ビギナー君

え、学会に行っただけで休みがもらえるの!?
うらやましすぎる……。

ヤマ
ヤマ

せやろ。最初は民間との違いに驚いたわ。
ただな、ええことばっかりやないで。この制度を使うには、公立ならではの代償があんねん。次でその話するわ。

学会や研修の扱いは、求人票では絶対にわからない

「教育体制充実」と書いてあっても、実際に費用が出るのか、休みの扱いはどうなるのかまでは書かれていません。ここを確認せずに入職すると、5年間で数十万円の自己負担という差が生まれます。
エージェント経由なら、施設に直接確認してもらえます。民間でも「教育体制が充実」しているところは存在します。
無料なので、情報だけでも集めておく価値はありますよ。

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では、その代償とは何か。
公務員特有の「お役所仕事」について正直に書きます。

ただし公務員にも壁がある——決裁書と復命書という手続き

復命書の修正を繰り返す公務員の理学療法士

代休も費用も出る。それだけ聞くと理想的に思えますが、実際に使うには手続きをする必要があります。
これがなかなか骨の折れる作業でした。

決裁書——柔軟性のなさに何度もため息をついた

学会に行くには、事前に決裁書を提出して承認をもらいます。
ここで問題になるのが経理課のルールです。支払いの曜日や提出期限が厳格に決まっていて、少しでも外れると次の処理まで待たされる。立て替えた費用がすぐには振り込まれないこともありました。

民間なら「今回は特別に」で通ることが、公務員では通りません。税金を使う以上、手続きの正確さが優先されるからです。理屈はわかりますが、当事者としてはもどかしい気持ちになります。
まさにお役所ならではの仕事だと感じる場面でした。

復命書——提出と修正を何度も繰り返した

学会から戻ったら、今度は復命書を提出します。
何を学び、業務にどう活かすかを書く報告書です。

この復命書が、上司によってはなかなか通りません。日本語の言い回しを直され、内容の書き方や承認を誰にもらうかを指摘され……提出と修正を何度も繰り返すことも多々ありました。

学会終了後のこの作業によって業務時間が増えることは確実です。

体験談②:復命書との格闘

復命書で一番大変だったのは、内容そのものより手続きの部分でした。
誰の承認をもらうのか、それが学会や研修ごとに違うことです。毎回確認するところから始まります。

「それ用のテンプレートを作っておけば早いのに」と何度も思いましたが、そういう改善提案が通りにくいのも公務員組織の特徴です。加えて上司による日本語の修正が入り、提出と差し戻しを繰り返すことも多く、制度は手厚いけれど、使うには手間がかかる。これが率直な実感でした。

ビギナー君
ビギナー君

代休はうれしいけど、それは……ちょっと面倒くさそうだな。

ヤマ
ヤマ

正直大変やで。でもな、これはトレードオフやと思ってる。
税金で運営されてる以上、手続きがきっちりしてるのは当たり前や。タダで手に入る制度はないってことやな。
手間を取るか、自腹を取るか。どっちがマシかは人によるで。

現にこの作業が面倒くさくて、自腹を切っている職員もいました。
では自分の職場を選ぶとき、何をどう確認すればいいのか。実践的な話に移ります。

自己研鑽を支えてくれる職場の見分け方

自己研鑽を支援する職場を見分けるポイント

公務員かどうかに関係なく、自己研鑽を制度で支えている職場はあります。
見分けるポイントを整理します。

面接で必ず聞くべき3つの質問

求人票の「教育体制充実」という一文は、ほとんど何も語っていません。具体的に聞くべきなのは次の3点です。

面接で確認したい3つの質問

① 学会や研修への参加は、出張扱いになりますか? それとも有給を使いますか?
② 参加費・交通費の補助はありますか? 年間の上限額はいくらですか?
③ 学会参加後に代休は取得できますか? 回数の制限はありますか?

聞きにくいと感じるかもしれませんが、これは待遇の確認であって、やる気を疑われる質問ではありません。むしろ「学びたい人なんだな」と前向きに受け取られることの方が多いはずです。

ビギナー君
ビギナー君

面接のどのタイミングで聞けばいいんだろう?

ヤマ
ヤマ

先方から「教育体制」について話がでたあとか、最後に「何か質問はありますか?」のときでいいと思うで。

事前に、「学会発表に力をいれていきたい」という趣旨をつけてから質問するのが、ポイントやな。

そのまま使える質問の言い回し例

実際にどのような言い回しがよいのか、実際に例を挙げてみます。

【前向きかつ積極的に活用していきたい場合】
「学会発表に力を入れていきたいと考えているのですが、貴院では学会発表はどのような扱いになりますか?」
※クリニックなら『貴院』、老健や訪問なら『貴施設』『御社』に置き換えてください。

【まずは様子を伺いながら、今後検討していきたい場合】
「今後、学会発表にも挑戦してみたいと考えています。貴院では、学会に参加されている方はどのくらいいらっしゃいますか?」

制度があっても「使える空気」があるかを確認する

制度が用意されていても、誰も使っていなければ意味がありません。「実際に去年、何人くらいが学会に参加しましたか」と聞いてみると実態が見えてきます。

これは休暇の取りやすさと同じ構造です。
制度と空気の両方が揃って、はじめて使える環境になります。

公務員以外にも、制度が整った職場はある

公立病院が唯一の選択肢というわけではありません。大規模法人や、研究・教育に力を入れている民間病院では、学会参加を業務として扱っているところがあります。

大事なのは公立か民間かではなく、その職場が自己研鑽に価値を認めているかどうかです。

【あわせて読みたい】
公立と民間の働き方の違いについてまとめています。
「PTの働き方は公立と民間でこう違う——両方で働いた元公務員PTが比較」

よくある質問(FAQ)

学会発表の費用や休みについてよくある質問
Q
理学療法士の学会発表は自腹が普通ですか?
A
ヤマ
ヤマ

民間病院では自腹が多い。

参加費・交通費・宿泊費を自己負担して、有給を使って参加するケースが一般的や。ただし病院が送り出す形の発表では旅費が支給されることもあって、施設や学会の位置づけによって扱いは変わるで。

Q
公務員PTは学会発表が出張扱いになりますか?
A
ヤマ
ヤマ

多くの公立病院では出張扱いになる。

決裁を通せば勤務時間内の扱いになって、参加日数分の代休が取得できることもある。参加費や旅費も規定の範囲で支給されるで。
ただし年間の回数制限など、運用は自治体や施設によって異なるからそこはご承知おきを。

Q
公務員の研修費や旅費はどこまで出ますか?
A
ヤマ
ヤマ

参加費・交通費・宿泊費が規定に沿って支給される。

ただし事前に決裁書の提出が必要で、基本一番安いプランで行くと思っておいた方がいいで。
経理の処理日程によっては立て替えた費用の振込が遅れることもあるで。手厚い反面、手続きには時間がかかるのが正直なところやな。

Q
学会発表をしたくないと感じるのは甘えですか?
A
ヤマ
ヤマ

甘えではない。

したくない理由によるけど、有給を削って、費用も自己負担という状況が苦しいという理由であれば、意欲が下がるのは自然なことや。問題はやる気やなくて、努力が報われる仕組みがあるかどうかやねん。
同じ発表でも、支援がある職場なら受け止め方は変わるはずやで。

Q
自己研鑽を支援してくれる職場をどう探せばいいですか?
A
ヤマ
ヤマ

面接で3点を具体的に確認する。

求人票の「教育体制充実」だけでは判断できへん。
「出張扱いか」「費用補助の上限」「代休の有無」——この3点を聞いてみることがええで。
事前に知りたい場合は、施設に直接確認できるエージェントを使うのが確実やで。

年3回の自腹参加を5年続けると、数十万円の差になる

私は若手の頃、学会や研修に年間3〜10万円を自己負担していました。5年続ければ15〜50万円。同じ勉強をしても、制度がある職場なら、その負担はほぼゼロになります。しかも代休まで返ってくる。
この差は、努力の量ではなく環境の差です。まずは他の職場の教育体制を知るところから始めてみてください。無料で確認できます。

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まとめ|同じ努力でも、環境で返ってくるものが変わる

最後に、この記事のポイントを整理します。

◆民間の多くは学会発表が「自己研鑽」扱い。有給+自腹が当たり前になっている
◆公務員は「出張」扱いで代休も出る。費用も規定の範囲で支給される
◆ただし公務員は決裁書・復命書という手続きの壁がある。制度と手間はトレードオフ
◆民間でも組織が価値を認める学会なら旅費が出る。要は職場の考え方次第
◆面接で「出張扱いか・費用補助・代休」の3点を確認すれば、入職後のギャップを防げる

ヤマ
ヤマ

勉強したい気持ちがあるんやったら、それを支えてくれる場所を選んだ方がええし、長く勤められるで。
同じ努力をしても、環境によって返ってくるもんが全然違うな。

自腹で削られ続けるか、仕事として認めてもらえるか。この差は5年、10年で大きな違いになるで。
まずは次の面接で、さっきの3つを聞いてみてな。それだけでも見えるもんがあるはずや。

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