「安定した公務員を辞めるなんて、甘いのかな……」
辞めたい気持ちはあるのに、周りに反対されそうで一歩を踏み出せない。そんなふうに立ち止まっていませんか?
前回の記事で「なぜ公務員を辞めたのか」は次回話す、とお約束しました。今回はその約束を果たします。
年収600万円、ボーナス4.5ヶ月、雇用も安定——客観的に見れば手放す理由なんてない公務員PTを、私はあえて辞めました。
先に正直に言っておくと、辞めた今も「大成功しました」なんて胸を張れる状態ではありません。まだ道の途中です。
それでも後悔はしていない。なぜそう言い切れるのか、決断までの葛藤や周囲の反対もふくめて、包み隠さず話しますね。
・辞めた理由は「不満」ではなく「挑戦がしたかった。後悔しない選択を選びたかった」から。安定への不満ではなく挑戦への欲求
・決め手は「今」ではなく「将来からの逆算」。10年後の自分を想像したときに答えが出た
・辞めることは「甘え」ではない。ただし勢いで辞めるのは危険。準備と逆算が必要
・辞めた今も結果は出ていない。それでも後悔しないのは、納得して決めたから
「辞めたいけど、引き止められそうで言い出せない」——特に公務員は、退職を伝えるハードルが高い職場です。私は自分で辞意を伝えましたが、正直しんどい時間でした。
もし一人で抱えるのがつらいなら、退職代行という手段もあります。ただし公務員は退職手続きが特殊なので、必ず公務員対応の実績があるサービスを選んでください。
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年収600万・安定の公務員を、なぜ辞めたのか

最初にはっきりさせておきたいことがあります。
私が辞めたのは、公務員が「嫌だったから」ではありません。むしろ待遇には感謝しています。
休暇の取りやすさ、同僚の人間関係、安定したボーナス……。
それでも辞めたのは、どうしても挑戦したいことがあったからです。
辞めた理由は「不満」ではなく「挑戦したいこと」があったから
公立系の病院で公務員PTをするということは、急性期でPTをするということです。
私は、急性期病院で働く中で課題や自分の中で使命が増え、これをやらなければ一生後悔すると考えるようになりました。
◯自分の事業で稼ぎたい
◯病気になる人を減らせる予防に関わりたい
これまでの臨床経験を別の形で世の中に届けること——挙げればきりがないほど、やりたいことが膨らんでいきました。
でも公務員という立場では、その多くに手を出せません。次の項目で触れますが、これが決定的でした。
公務員では「幅広い挑戦」ができなかった
地方公務員法では、営利企業への従事などが原則として制限されています。つまり公務員を続けながら自分のやりたいことに挑戦したり、副業が基本的にできない。
もちろん公務員でやりたいことを実現できないか、信頼できる上司に相談したこともありました。
しかし、叶いませんでした。
やりたいことの多くが「収入を伴う活動」だった私にとって、この壁は想像以上に高いものでした。
公務員として働くということは、安定と引き換えに、「挑戦の自由を差し出している。」とも考えられます。前回の記事でも公務員のデメリットとして副業禁止を挙げましたが、それを本当の意味で痛感したのは、自分の「やりたい」が育ってからでした。
【あわせて読みたい】
副業を含む公務員PTのメリット・デメリットを詳しく解説しています。
▶理学療法士が公務員になるには——試験・求人・年収のリアル
決め手は「将来からの逆算」——10年後の自分を想像した
勢いで辞めたわけではありません。決め手になったのは、将来から逆算して考えたことです。
「このまま定年まで、同じ場所で同じ日々を過ごす自分」を具体的に想像してみました。
すると、恵まれた環境にいるはずなのに、心のどこかが満たされていない未来が見えました。
Aパターン:60〜65歳まで我慢しながら惰性で働き続け、安定した収入と退職金をもらう人生
Bパターン:残り20年前後を、自分のしたかったことにチャレンジして60〜65歳までがむしゃらに生きる人生
もちろんAパターンの方が幸せなこともあります。しかし、私にとってAパターンは死ぬ時に後悔すると思いました。
今この記事を読んで公務員としての生き方に疑問をもっている方も同じ気持ちの方も多いはずです。
不思議なことに、将来から逆算して自ら動き出すことで、様々なご縁も生まれます。
今回辞めたのも、良いご縁があったからこそ動けたといっても過言ではありません。
きっかけの一つは、職場への違和感でした。
近年、公立病院の赤字経営がニュース(全国赤字ワースト病院ランキング100)で取り上げられています。
赤字を出し続けている病院なのに、多くの同僚はそこに無関心。この姿をみた時に一緒に働いていて未来はあるのか……?と疑問に思いました。
頑張っても頑張らなくても同じように評価される制度の中で、私の心は少しずつ削られていきました。評価制度は、頑張りを見てくれる仕組みではありませんでした。
気づけば、熱意を持って理学療法士になったはずの自分の「軸」が、周りに合わせるうちに折れそうになっていました。年収は600万を超えていました。でも、お金では測れないものの存在に気づいてしまったんです。

え、600万以上ももらえてたのに辞めたのもったいないよ〜。
僕なら絶対しがみつくけど……。

その気持ちはわかるで。今でも「もったいない」ってよう言われるしな(笑)。
でもな、お金だけで満たされへん部分があるって、働いてるうちにわかってきてん。そこに気づいてしもたら、もう止まられへんかったわ。
とはいえ、すぐに決断できたわけではありません。辞めるまでの葛藤と、周囲の反応を正直に話します。
辞めるまでの葛藤と、周囲のリアルな反応

「辞める」と口に出してから実際に辞めるまで、心は何度も揺れました。
一番こたえたのは、身近な人たちの反応です。
上司・同僚の反応——引き止められ、驚かれ、一部は羨ましがられた
退職の意思を伝えると、上司にも同僚にも驚かれ、そして引き止められました。
「なぜ辞めるの?もったいない」
「安定を捨ててどうするんだ」
「辞めても子どもを養えるのか?」
その一方で、一部の人からは「正直うらやましい」「自分も退職を考えたことがあるけど、なかなか動き出せない……。」と本音を漏らされることもありました。
同じように現状にモヤモヤを抱えている人が、実は少なくないのだと感じた瞬間です。この反応は思いがけないものでした。
家族・友人の反応——最初は反対、今は応援してくれている
一番重かったのは家族の言葉でした。
「公務員辞めて給料減るのに、どうやって生活するの?」
「公務員は辞めてほしくない。子どもも小さいのに……。」
「年収が下がるなら、一回立ち止まって考えて欲しい。」
どれも私を思っての言葉です。だからこそ刺さりました。特に、小さい子どもを引き合いに出されたときは、決意が揺らぎかけました。
それでも最終的に前へ進めたのは、逆算して考えた「辞めなかった場合の後悔」の方が、私にとっては大きかったからです。
しかし、自分一人の意見を押し通すと夫婦仲にも影響します。
そこは、年収を下がっても家計が大丈夫なことをしっかり数字で説明し、将来的な見込みも含めて話し合うことで理解してくれました(下記で詳しく解説しています)。
今では家族も友人も、応援してくれています。
「安定を捨てるのは甘え」なのか——私の答え
辞めたいと検索すると、「甘え」という言葉によく出会いますよね。
私の答えははっきりしています。辞めること自体は甘えではありません。
ただし、不満から逃げるためだけに、何の準備もなく勢いで辞めるのは危険です。「甘え」かどうかを分けるのは、辞める理由ではなく、辞め方の方だと思っています。

家族に反対されたら、僕なら心が折れそうだよ……。

折れかけたで、実際。でもな、反対してくれるのは心配してくれてる証拠や。そこは受け止めた上で、自分がどうしたいかを言葉にして伝え続けるしかない。
時間はかかったけど、ちゃんと向き合ったから、今は応援してもらえてる。
逃げるように辞めてたら、こうはならんかったと思うわ。
公務員を辞めるとなったら、家族を心配させないようにダメだった時の第二プランまで考えておくことが重要です。
私の場合の第二プランとしては、2つ考えていました。
①公務員にまた戻る
②他のところに転職する
①地方自治体によっては、カムバック制度があるところがあります。辞めた貴重な人材を公務員に戻りやすくする制度です。どこも人材が不足しているのは周知の事実ですね。
②もし、転職先が思っていた場合と違った場合も、他のところに転職するという意思を家族に示しておくことで、話し合いの時の衝突も少なくて済みます。
辞めてから転職先を探すと、収入が途切れる期間の焦りから、条件を妥協しがちになります。
在職中に相場を知っておくだけで、その『焦りによる損失』を防げます。私も辞める前に選択肢を調べていたからこそ、落ち着いて次を選べました。
▶質の高い施設の内部情報を知ることができます。
ここまで私の話をしてきましたが、大事なのはあなた自身がどうすべきか、ですよね。辞めるべき人・留まるべき人を整理します。
公務員を辞めるべき人・留まるべき人——「向いてない」の見極め方

辞めた私が言うのもなんですが、全員に「辞めよう」と勧めるつもりはまったくありません。
公務員が合っている人には、これほど良い働き方もないからです。下の表で、自分がどちらに近いか確かめてみてください。
| ◯ 辞めても後悔しにくい人 | ✕ 留まった方がいい人 |
| やりたいことが明確にある | 不満はあるが、やりたいことは特にない |
| 将来から逆算して主体的に準備できる | 勢い・その場の感情で動きがち |
| 収入が下がる覚悟と計画がある | 安定した収入が生活の最優先 |
| 挑戦そのものに価値を感じる | 変化より安心を大事にしたい |
| 家族と方向性を共有できている | 家族の反対を押し切る自信がない |
表で「留まった方がいい人」に多く当てはまった人ほど、次の話を読んでほしいです。
辞めて後悔しやすいのは「不満だけで動く人」
「なんとなく嫌」
「人間関係がしんどい」
——その気持ちは本物です。
でも、それだけを理由に辞めると、次の職場でも同じ壁にぶつかりがちです。
不満は「逃げる理由」にはなっても、「進む理由」にはなりにくいからです。ここを混同すると辞めたあとに後悔する可能性が高いため危険です。
辞めても後悔しにくいのは「やりたいことがある人」
逆に、明確にやりたいことがあって、それが今の職場では実現できないのなら、辞める価値は十分にあります。
私がまさにこのタイプでした。大事なのは「何から逃げるか」ではなく「何に向かうか」を言葉にできているかどうかです。
ここに、辞めたあとも生活の基盤が崩れないことを確認しておくと盤石です。

ところで、『向いてない』と『甘え』の違いって、何?

ええ質問やな。
『向いてない』は事実の話。『甘え』は準備不足の話や。
公務員の働き方が自分に向いてへんのは、悪いことでも何でもない。ただ、向いてないからって無計画に飛び出すのは『甘え』と言われても仕方ないってことや。
向き不向きを見極めた上で、ちゃんと準備をする。
それができれば誰にも甘えなんて言わせへんで。
□ 退職金の金額を確認した
□ 失業給付の条件・金額を調べた(自己都合退職の扱い)
□ 当面の生活費(最低6ヶ月分)を計算した
□ 辞めた後にやりたいことを言葉にできる
□ 家族と方向性を共有できている
□ 次の選択肢(転職・事業等)の情報を集め始めた
→ 3つ以上「□」のままなら、まだ辞めるタイミングではないかもしれません。
「自分は辞める側かもしれない」と思ったなら、次に何をすべきかを具体的に整理します。
公務員を辞めると決めたら、まずやるべきこと

辞める前に「辞めた後の生活」を数字で計算する
感情で辞める前に、必ず次の職場で働く目星をつけておきましょう。そして、まず電卓を叩いてください。
①生活の毎月の支出はいくら
②何年後にまとまったお金がいくらかかるか
③②の貯金は貯まっているか
④転職で減算した分の収入は家族で補填できるか
⑤住宅ローンなどボーナス払い、退職金で補っていないか
⑥当面の生活費は何ヶ月分あるか
今辞めると退職金はいくら出るのか、当面の生活費は何ヶ月分あるのかは必ず計算しておきましょう。
数字にすると、漠然とした不安が「対処できる課題」に変わります。
私も辞める前に、最低半年は無収入でも耐えられる計算をしてから動きました。
辞めてからではなく「辞める前」に次の準備を始める
一番やってはいけないのが、何も決めずに先に辞めることです。
次の選択肢は、在職中に動いておく。転職するなら求人の相場を見ておく、転職先の目星や転職先が決まってから退職の意思を伝えることが重要です。事業を始めるならSNSを開始しておいたり、今できることを小さく試しておく。
辞めた後の自分が困らないように、今の安定を使って準備するのが賢いやり方です。
一人で抱えず、第三者に相談して視野を広げる
辞めるかどうかの悩みは、当事者だけで考えると視野が狭くなります。
家族はもちろん、利害のない第三者——たとえば転職エージェントのような存在に、現状を話してみるだけでも見え方が変わります。
「今の自分にどんな選択肢があるのか」を知るだけで、決断の質が上がるからです。
公務員の退職手続きは民間と少し違う
民間であれば、直接上司に退職の意向を伝えることで、話は進みます。
しかし、公務員の場合はさらに手続きが必要です。それは退職願の提出先は任命権者、辞令交付、共済組合の切り替えなどになります。
辞めてから動くより、辞める前に選択肢を知っておく方が、精神的にも金銭的にも圧倒的に有利です。私も在職中に、PT/OT/STの転職先の相場だけは調べていました。相場を知っているだけで、「辞めた後どうしよう」という不安がかなり減ります。無料なので、情報収集の道具として持っておくと安心材料になりますよ。
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よくある質問(FAQ)

- Q公務員を辞めるのは甘えですか?
- A
ヤマ辞めること自体は甘えではない。
やりたいことがあって、準備と計画を持って辞めるなら、それは前向きな決断や。「甘え」と言われるのは、不満から逃げるためだけに無計画で辞めるケースやな。理由ではなく、辞め方が問われるで。
- Q地方公務員を辞めて後悔しませんか?
- A
ヤマ納得して決めたら後悔しない。
私は年収600万以上の地方公務員を辞めたけど、後悔してへん。まだ結果は出てへんけど、自分で逆算して選んだ道やからな。これからどんどん巻き返していく覚悟で生活してるで。
逆に、流されて辞めた人ほど後悔しやすい傾向があるで。
- Q公務員を30代で辞めるのは遅いですか?
- A
ヤマ遅くない。
むしろ30代は、経験もあり体力も判断力もある動きやすい時期や。20代ほど無鉄砲でなく、40代ほど身動きが取りにくくもない。家庭がある場合は家族との合意が前提になるけど、年齢だけを理由に諦める必要はないで。
- Q中途採用で入った公務員を辞めてもいいですか?
- A
ヤマ全然辞めてもいい。
中途で入ったからといって、辞めてはいけないルールはないで。むしろ民間を経験してから公務員に入った人ほど、「思っていた働き方と違った」と感じやすい面もあると思うで。大切なのは在籍年数やなくて、次に何を目指すかやで。あと、公務員だけの経験よりは転職しやすいと思うで。
- Q公務員が辞める時に引き止められたらどうすればいいですか?
- A
ヤマ流される必要はない。
引き止めは「あなたが必要とされてる証拠」やけど、それに流される必要はない。感謝を伝えつつ、意思は変わらないことを冷静に伝えるんや。どうしても言い出せへん、話が進まへんという場合は、公務員対応の退職代行に相談する方法もあるで。
- Q公務員を辞めて後悔した人はどんな人ですか?
- A
ヤマ勢いで辞めた人。
一番多いのは『不満から逃げるためだけに、無計画で辞めた人』やな。
次のあてもなく勢いで辞めると、収入が途切れた焦りで判断を誤りやすいで。逆に、やりたいことがあって準備してた人は、後悔してる人が少ない印象やな。
- Q公務員を辞めたら収入はどのくらい下がりますか?
- A
ヤマ年齢など個人差が大きい。
人によるとしか言えんけど、私の場合は2ヶ月分の給料くらいは減ったかな。ただ、それも織り込んで逆算してたから慌てへんかった。
大事なのは『下がるかどうか』より『下がっても耐えられる計画があるか』やで。
まとめ|辞めるかどうかを決めるのは、あなた自身

最後に、この記事のポイントを整理します。
◆辞めた理由は「不満」ではなく「挑戦したいことがあった」から
◆決め手は将来からの逆算。10年後の自分を想像して答えを出した
◆辞めることは甘えではない。ただし無計画な退職は危険
◆辞める前に「生活の数字」と「次の選択肢」を準備しておく

辞めて大成功した、なんてまだ言われへん。正直、今も道の途中や。
でも後悔はしてない。それはたぶん、逃げたんやなくて、納得して決めたからやと思う。
自分の人生を決めるのは、上司でも家族でもない。あなた自身やで。
まずは、辞めたあとの生活を数字で書き出してみてな。それだけで、「何となくの不安」が「具体的な計画」に代わるで。
自分も頑張るから頑張ろう!!応援してるで。
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